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梅毒

解説

梅毒の一般的経過

A)顕症梅毒

梅毒の病原体TPが感染して9週までを第1期梅毒、9週より3年までを第2期梅毒、感染後3年以上を第3期梅毒という。感染後10~15年経つと脳と脊髄に変化をきたし、変性梅毒または第4期梅毒と呼ぶ。潜伏期間は3~6週間。

第1期 <しこり> 3~9週間、梅毒血清反応陽性
(早期梅毒)

初期硬結

  • 外陰部に直径1cmくらいの赤く硬いしこりを形成。
  • 痛みはほとんどない。
  • 亀頭、冠状溝、大小陰唇に好発。

硬性下疳

  • 初期硬結が自潰して、硬い潰瘍となる。
  • 痛みを伴わない。
  • 触れると軟骨様の硬度。

6週間より、両側鼠径部の所属リンパ節が硬く腫張する。無痛性で、治療せずに放置しておいても3週間ほどで消退する。
第1期のうちに治療を終了させないと、第2期梅毒疹が出現する。

第2期 9週間~3ヵ月、梅毒血清反応強陽性
(早期梅毒)

バラ疹

  • エンドウ豆大の薄い紅斑が、体幹部に多数発生する。
  • 痒みはなく、無痛性である。
  • 数週間で自然消退する。

時に梅毒性丘疹に移行する。12週間後に発生。

  • 暗紅色の痒みのない丘疹が顔面、体幹、四肢に多数・散発的に発生する。
  • 両手足の裏に限局した丘疹をみる場合が多い。

粘膜疹

  • 口唇、口蓋、頬粘膜、咽頭に境界明瞭な灰白色の斑を生じ、時に中央部がびらんする。
  • 扁桃は腫大するか、白苔を有し、しばしば潰瘍を生じて、梅毒性口峡炎となる。
  • 時に嗄声を伴う。

潜伏梅毒

  • 皮膚、粘膜に症状がなく、梅毒に感染している状態。
  • 梅毒血清反応のみが陽性を呈する。

硬性下疳、バラ疹、梅毒性丘疹、粘膜疹など、皮膚および、粘膜の梅毒性病変は痒みや痛みがなく、治療を受けなくても、自然に消退してゆくのが梅毒の特徴である。
この間、梅毒の感染は持続し、次の段階へと進展してゆく。

第3期 3年~10年
(晩期梅毒)

ゴム腫

  • 皮膚、骨、筋肉に、また肝臓や腎臓などにも硬いしこりやゴムのような腫れが出て、傷跡として残ることもある。
  • 梅毒血清反応は陽性。

▼無治療ままで進行

第4期 <歩行麻痺、痴呆> 10年~
  • 心臓血管系、中枢神経系が侵され、大動脈瘤、進行麻痺、痴呆などの症状が現れる。
  • 日常生活ができなくなり、死に至る。

B)無症候梅毒

C)HIV感染に併発した梅毒

臨床症状

【女性】

【男性】

検査(採血)

1)クイックテスト :15分で結果がわかる

2)TPHA+RPR定量 :2日以内で結果がわかる

抗生剤により治療

  1. アモキシシリン :4週間以上内服
  2. ミノマイシン :同上
  3. エリスロマイシン :同上

※治療開始後、数時間~数日以内に発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、リンパ節の腫大などが出現することがある(Jarish-Herxheime反応)が、急激なTPの死滅が原因であり安静で軽快するため、梅毒の治療はそのまま続ける。この時期の発熱や疼痛に対しては内服等で軽減させていきます。

治療・治療効果の指標としてのRPR・TPHA定量

パートナーの追跡

第1、2期顕症梅毒または感染後1年以内の無症候梅毒と診断された患者と90日以内に性的交渉があった場合には、パートナーの梅毒血清反応も行うべきである。陰性の場合でも経過を観察するべきである。

最後に