山の手クリニック 性病について

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トリコモナス

解説

  • ・男女共に自覚症状が出ないこともあり、いつ感染したか分からない事が多い疾患。
  • ・トリコモナス原虫が原因で、婦人科やSTDの中でも比較的ポピュラーな疾患である。
  • ・膣だけではなく子宮頸部、下部尿路、前立腺などにも侵入しピンポン感染を起こすにもかかわらず、男性に比べ特に女性で症状が強いこともあり、トリコモナス感染症だけではなくHIV感染やPID(卵管炎などの骨盤内感染症)などとの関係や早産や前期破水など妊娠経過への影響なども注目されている。
  • ・再発を繰り返す症例も少なくない。再発の経過として原虫の残存によるものと隣接臓器からの自己感染、パートナーからの再感染がある。
  • ・感染者の年齢層が他のSTDと異なり非常に幅広く中高年者でもしばしばみられるのが特徴で、無症状のパートナーからの感染によるものが多い。
  • ・主にオーラルセックスを含む性交渉で感染するが、性交経験のない女性や幼児でも感染のみられることから、タオルや入浴、便器による家庭内感染も稀にある。
  • ・トリコモナスは乾燥には非常に弱いが、水中ではかなり長時間感染性があるといわれている。
  • ・感染を有する妊婦から新生児への垂直感染もある。
  • ・膣炎ではトリコモナスだけがみられるものではなく、臭いの原因となる嫌気性菌や大腸菌・球菌の増殖をきたした混合感染の形態をとることが一般的で、膣炎の病態や臨床症状は混合感染によって作られているといわれている。
  • ・治療によりトリコモナスが減少・消失すると再びデーデルライン桿菌(かんきん)が優位となって、他の細菌の発育抑制、減少して膣内の状態が改善され治癒に向かうと考えられる。
  • ・子宮膣部は感染による炎症で発赤し、粘膜下の血管は密で浅くなり、接触時出血をしやすくなる。

症状

【男性】

  • ・尿道・陰茎包皮・前立腺・精巣などに寄生していてもほとんど自覚症状がない。無症状であっても尿道の分泌物や炎症が非感染者に比べて多く、感染後の潜伏期間も10日前後と淋菌より長い。
  • ・トリコモナス感染を有する男性には前立腺炎を有することが多く、トリコモナスは前立腺炎や精嚢などに棲息しており、この場合尿道に出てくることで少量から中等量程度の分泌物を伴う尿道炎症状を呈する。
  • ・自覚症状がなくてもパートナーが感染していれば本人も治療の必要がある。

【女性】

  • ・男性に比べトリコモナス感染症の症状は非常に多様である。約50%は自覚症状がない場合もあるが、その1/3は6ヵ月以内に症候性になるといわれている。症状が進行するとおりものに血が混じる場合もある。
  • ・泡状の悪臭の強い黄色いおりものの増加と、外陰・膣の刺激感、強いかゆみを起こす。
症状 黄色いおりもの(多量)
分泌物 淡膿性、時に泡状、量多
炎症 膣壁発赤
アミン臭(魚臭) しばしばあり
性行為伝播 あり

他の疾患との関連

  • ・治療薬剤への耐性株の出現なども注目されている。
  • ・トリコモナス感染を受けた膣粘膜や発赤・びらんを有する膣部はHIV感染に対して抵抗力のない環境であるが、クラミジア感染や淋病と同様にHIV感染リスクを高めるとされる。

検査

  • ・綿棒で尿・膣分泌物を採取し、顕微鏡や培養検査を行います。
  • ・診断として、泡状の悪臭の強い黄緑色の帯下(おりもの)が重要となるが、このような症状は半数程度の症候性婦人で認めるだけであり、膣の発赤は75%認めることができる。

治療

  • ・ピンポン感染を起こすため、感染が判明した場合70~80%の確率で感染しているので、同時にパートナーと共に治療する必要がある。
  • ・女性に比べ男性ではトリコモナス検出が困難で、男性パートナーでは陰性と判定されることもあるので注意をする必要がある。
  • ・男性は飲み薬、女性では膣錠(飲み薬)での治療となる。
  • ・治療期間は7~10日程度。
  • ・治癒判定は自他覚症状の消失とトリコモナス原虫の消失を確認する。女性では次回月経後にも原虫消失の確認をする必要がある(残存膣トリコモナスが月経血中で増殖する為)。
  • ・予後は経口投与で90~95%の消失がみられる。同時期にパートナーとの治療を行えば良好である。

予防

コンドームでの感染予防が一時的には可能である。しかし感染者とパートナーの治療を徹底することが重要である。

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